台湾映画『先に愛した人』でゲイ役を演じたロイ・チウさんが登壇! 台湾ナイトも開催!


台湾映画『先に愛した人』 Q&Aの様子

3月8日(金)に開幕した「第14回大阪アジアン映画祭」。台湾の話題作『先に愛した人/Dear EX/誰先愛上他的』が13日(水)にABCホールで上映され、Q&Aセッションには今年の【オーサカ Asia スター★アワード】を受賞した主演のロイ・チウ(邱澤)さんが登壇しました。


台湾映画『先に愛した人』

『先に愛した人』は、死んだ夫の保険金の受取をめぐり、彼の恋人だった自由気ままな若い男と、その事実を知らされ激怒する妻、そして2人の間で戸惑う思春期の息子の3人の人間模様を描いたヒューマン・コメディ。昨年の「第21回台北映画祭」で主演男優賞、主演女優賞、長編フィクション作品賞など4部門を受賞しました。また世界中の中国語映画が対象の「第55回ゴールデン・ホース・アワード(金馬奨)」でも8部門でノミネートされ、主演女優賞、編集賞、オリジナル映画歌曲賞の計3部門を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。

実は本作は今年2月1日に世界最大規模の映像配信サービスである「Netflix (ネットフリックス)」で世界同時配信され、インターネットで視聴可能です。にもかかわらず、本作のチケットは発売後すぐに2回の上映分とも完売!本作の人気の高さと、「映画はやはり劇場で観たい」と言う人が多いことがうかがえます。


日本語で挨拶するロイ・チウ(邱澤)さん

今年のABCホール上映の第1作となった『先に愛した人』。上映後にロイ・チウ(邱澤)さんが登壇すると、満席の会場は一気に華やかな雰囲気に。最初にチウさんが日本語で「みなさん、こんにちは。まいど! 映画はいかがでしたでしょうか」と挨拶すると、観客は割れんばかりの温かい拍手で答えました。チウさんは高校生のとき日本語を勉強したそうで、好きな日本語の言葉は「一生懸命」と「こだわり」だと話していました。


満席の会場

まず司会者に撮影時の苦労を聞かれると、チウさんは「最初に監督から、できるだけカメラを意識せず、演じているという雰囲気を出さないように、つまり100%この人物になりきってやるように言われました」と監督から受けた演技指導について明かしました。そして、今までと全く違う乱暴なゲイの役を演じたことについて、「初めてのゲイの役でしたが、彼は相手の性別に関係なく、女性に対しても男性に対しても同じように乱暴に接します。僕は彼をそういう性格の一人の人間として演じました」と撮影時の心境を打ち明けました。


質問に答えるロイ・チウ(邱澤)さん

続いて観客からの質問の時間に。本作中にも登場する舞台劇の経験を尋ねられたチウさんは「兵役から戻ってから、約1年間、演劇の訓練をしました」と通訳を通して回答しました。その後、日本語で「この映画と同じストーリーの劇もあります。去年出演しました」とコメント。本作とほぼ同じストーリー構成の『小三與小王(小三と小王)』という題名の舞台劇があり、こちらでも主役を演じたそうです。


観客に手を振るロイ・チウ(邱澤)さん

以前からチウさんのファンだと言う観客からは、映画の中でチウさんが美声を披露するシーンがあることから今後再びアルバムを出す予定があるかという質問が。チウさんは「確かに歌手としてアルバムを出す計画もありましたが、今は演じるほうに重点を置いています」と笑顔でコメント。そして、「演じることと歌うことを同時に進めることは難しいです。まずは演技を一生懸命やってみて、また考えてみたいと思います」と今の素直な気持ちを観客に語りました。まだまだ質問の手が挙がっていましたが、残念ながら時間オーバーとなり、ここでQ&Aセッションは終了しました。


《TAIWAN NIGHT(台湾ナイト)》のゲストの皆さん

『先に愛した人』の上映後、同じくABCホールで《TAIWAN NIGHT(台湾ナイト)》が開催され、台湾から駆け付けたゲストが登壇して舞台挨拶が行われました。その後、上映されたのは2018年の台湾No.1ヒット作『悲しみより、もっと悲しい物語』。クォン・サンウさんが主演の韓国映画が原作で、シンガポールやマレーシアなど、東南アジア各国でも大ヒットを記録したそうです。


2018年台北LGBTパレードの様子(撮影:阪部すみと)

話は変わりますが、実は台湾はLGBTQの権利運動においてアジアの先駆者的な存在です。2月に台湾の行政院(内閣)が同性婚を認める特別法案を閣議決定し、現在、立法院(国会)にて審議が行われています。審議が順調に進めば、今年5月にはアジアで初めて同性婚が法的に認められる予定です。また毎年10月末には台北で、アジア最大規模のLGBTパレード「台湾同志遊行(Taipei LGBT Pride)」が開催され、日本など海外からも多数の参加者が訪れています。2018年のパレードは、主催者の発表によると約14万人が参加し、過去最多を記録したそうです。

さて、いよいよ後半に突入した「第14回大阪アジアン映画祭」。3月17日(日)の授賞式に向けて国内外から連日ゲストが来阪し、多くの上映回でゲスト登壇が予定されています。ぜひ足を運び、映画祭の華やかで楽しい雰囲気を楽しんでみてくださいね。

■「第14回大阪アジアン映画祭」は3月17日(日)まで。会場は梅田スカイビルの中にある「シネ・リーブル梅田」やJR福島駅近くの「ABCホール」などです。

■チケットは前売り券が1,300円で、各上映日の2日前まで全国のチケットぴあ店舗、セブン-イレブン、ぴあwebサイト予約などで購入できます。当日券は1,500円で前売券が完売していない上映回のみ、上映当日に各上映会場にて販売されます。なお、当日券には「青春22切符」があり、22歳までの方は500円で購入可能です。

■第14回大阪アジアン映画祭 公式サイト
http://www.oaff.jp/2019/ja/index.html

(取材・文:Zac Oda)

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